廃プラスチックのリサイクル工場から、特定技能のご相談をいただくと、これまでは残念なお答えをすることが少なくありませんでした。「ペレットの製造(押出・造粒)は特定技能の対象外です」──そうお伝えしてきた工場が、実際に多くあります。

その前提が、2026年6月1日に変わりました。工業製品製造業分野「機械金属加工」区分の対象作業に、新たに「プラスチック成形材料製造」が加わったためです。再生ペレットの製造ラインであれば、この区分で特定技能外国人を受け入れられるようになりました。本稿は、自社の工程が当てはまるかを判断していただくための実務ガイドです。

何が変わったのか ── 「機械金属加工」に”プラスチック成形材料製造”が追加

これまで、工業製品製造業分野でプラスチックの成形として対象になっていたのは、圧縮・射出・インフレーション・ブロー成形といった「製品を成形する」工程でした。原料を溶かして押し出し、粒状に切り出す押出・造粒(ペレット化)は、対象の作業に含まれていませんでした。再生ペレットの製造はまさにこの押出・造粒にあたるため、「対象外」とされてきたわけです。

2026年6月1日施行の告示で、機械金属加工区分の作業に「プラスチック成形材料製造」が追加されました。下の表のとおり、これまで対象外だった押出・造粒が、対象の作業に含まれることになります。

プラスチックの成形・加工 2026年5月まで 2026年6月1日〜
圧縮・射出・インフレーション・ブロー成形 対象 対象
押出・造粒(ペレット化)=プラスチック成形材料製造 対象外 対象に追加

出典:経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて(2026年6月)」。2026年10月参照。制度の詳細・最新の運用は経済産業省および出入国在留管理庁の公表資料をご確認ください。

自社の工場は当てはまる? ── 「主な業務」と「付随業務」の線引き

ここがもっとも大切なところです。特定技能では、その区分の「主な業務」に日常的に従事していることが受け入れの前提になります。付随する作業だけでは要件を満たしません。再生ペレット製造の工程を、この区分の主な業務と関連業務に分けると、次のように整理できます。

区分 工程の例
主な業務 計量・配合・混合 / 混練・押出・造粒 / 工程の監視
関連(付随)業務 粉砕・洗浄(フレーク化) / 包装・出荷

出典:特定技能・育成就労の制度に関する有識者会議の参考資料、および一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)「製造業における特定技能外国人材受入れに関するFAQ」(令和8年6月10日時点)。2026年10月参照。

この線引きから導かれる結論は、はっきりしています。混練・押出・造粒まで行い、再生ペレットとして出荷している工場は、主な業務があるため対象になり得ます。一方で、粉砕・洗浄でフレーク化するところまでで出荷している工場は、工業製品製造業では「主な業務」がなく、この区分での受け入れは難しいということです。

産業分類の面でも整理されています。再生ペレットの製造は日本標準産業分類の1851「プラスチック成形材料製造業」に該当します。化学工業(1635)は対象外です。なお、ペレットとフレークの出荷割合に基準は設けられておらず、同じ会社の別の工場への引渡しも「出荷」に含めて考えます。自社がどちらの線に立つのか、まずは工程と出荷形態からご確認ください。

判断に迷いやすいのは「フレークも作るが、最終的にペレットまで仕上げて出している」ような工場です。工程のどこまでを自社で行い、どの形で出荷しているかによって結論が変わります。線引きの当てはめは、個別にご相談いただくのが確実です。

採用の近道 ── 技能実習を修了した方は、試験が免除されます

受け入れの入口は二つあります。一つは評価試験に合格するルート、もう一つが技能実習2号を良好に修了した方のルートです。後者では、技能試験・日本語試験がいずれも免除されます。

機械金属加工区分へ試験免除で移行できる技能実習2号の職種は、次の19職種です。これらを良好に修了した方は、試験を経ずに特定技能1号へ移行できます。

機械金属加工区分へ移行できる技能実習2号の職種(19職種)
プラスチック成形 / 強化プラスチック成形 / 鋳造 / 鍛造 / ダイカスト / 機械加工 / 金属プレス加工 / 鉄工 / 工場板金 / 仕上げ / 機械検査 / 機械保全 / 電子機器組立て / 電気機器組立て / アルミニウム圧延・押出製品製造 / 金属熱処理業 / 溶接 / 塗装(金属塗装の作業のみ) / 工業包装

出典:法務省「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について」(令和8年6月1日時点)。2026年10月参照。

ここで実務上、重要な点があります。「プラスチック成形材料製造」は機械金属加工区分に含まれるため、上記19職種を修了した方は、移行後にこの成形材料製造の作業にも従事できます。つまり、必ずしも「プラスチック成形」の実習を修了していなくても、19職種のいずれかを修了していれば、試験免除で再生ペレットの製造ラインに就いていただける可能性があります。自社に修了予定の実習生がいる企業にとって、この意味は小さくありません。

試験ルートの実際 ── 機械金属加工の合格率

もう一つの入口である評価試験について、数字を共有しておきます。機械金属加工区分の特定技能1号評価試験は、国内および海外で実施されています。直近の2026年7月の回の合格率は15.0%でした。受験者の多い区分ですが、関門は決して低くありません。

裏を返せば、試験合格だけに頼る計画は立てにくいということです。前章の技能実習修了者ルートと組み合わせ、受験の申込時期から逆算して動くことが、受け入れを前に進める鍵になります。

次回の試験(2026年度 第2回)

  • 試験期間:2026年11月9日(月)〜11月15日(日)
  • 申込期間:2026年9月17日(水)〜11月4日(水)

出典:一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)公表資料。2026年10月参照。日程・会場・受験料は変更されることがあります。お申し込みの際は必ずJAIMの最新の告知をご確認ください。

受け入れまでの手続き ── JAIM入会と「特定活動」での先行就労

受け入れにあたっては、事業所ごとに製造業特定技能外国人材受入れの協議・連絡会(JAIM)への入会が必要です。審査には2〜3か月程度を見ておくのが目安です。

すでに日本国内にいる方を採用する場合には、実務上の工夫があります。入会の申請中であっても、「特定活動(特定技能1号への移行準備)」の在留資格を使って、先に働き始められる場合があります(申請番号が確認できる段階で可)。採用が決まってから入会審査の完了を待つのではなく、並行して進められるということです。

フレークだけの工場はどうするか ── 資源循環分野という選択肢

前章のとおり、粉砕・洗浄でフレーク化するところまでで出荷している工場は、工業製品製造業分野では主な業務がありません。その場合の選択肢が、資源循環分野(廃棄物処分業・中間処理など)です。

資源循環分野は、協議会が2026年8月27日に発足しました。入会フォームは10月末頃に設置される予定で、入会には優良な機関であることの認証が前提とされています。実際の受け入れは2027年度が見込まれています。現時点では「これから動き出す分野」であり、フレーク中心の工場は、こちらの動向も合わせて見ておく価値があります。詳しくは当組合のニュース記事「資源循環の特定技能、協議会が発足|入会申請は10月末頃から」もあわせてご覧ください。

まとめ

2026年6月1日の制度改正によって、これまで「対象外」とされてきた再生ペレットの製造(押出・造粒)が、特定技能「機械金属加工」区分で受け入れられるようになりました。ポイントは三つです。

  • 混練・押出・造粒まで行い、ペレットとして出荷している工場は、対象になり得る。フレークまでで出荷する工場は、工業製品製造業では難しい。
  • 技能実習2号を修了した方(19職種)は試験免除で移行でき、成形材料製造の作業にも就ける。
  • 受け入れには事業所ごとのJAIM入会が必要。国内在留者なら「特定活動」で先行就労できる場合がある。

自社の工程がこの区分に当てはまるかどうかは、出荷の形態と作業の内訳によって結論が分かれます。当組合は監理団体(許可番号 許1904000061)、登録支援機関(20登-005125)、有料職業紹介事業者(11-ユ-301303)として、技能実習からの移行と海外からの直接採用の双方をお手伝いしています。まずは工程の当てはめの整理からご相談いただけます。

富士協同組合 理事 長澤

自社の工程が「機械金属加工」に当てはまるかのご確認、技能実習修了者の試験免除の可否、受け入れ手続きのご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。担当より3営業日以内にご返信します。