先日ご紹介したLINEグループの自動翻訳を、実際の業務で使い始めました。短い期間ですが、機械翻訳に任せてよい領域と、人が確認しなければならない領域が、はっきり分かれて見えてきました。

はじめに

現在、ベトナム語・ミャンマー語・インドネシア語の3言語で運用しています。日本語で書き込めば母国語の訳が、母国語で書き込めば日本語の訳が、同じトークに続けて表示されます。実習生の側に特別な操作は必要ありません。仕組みの詳細は前回のコラムをご覧ください。

想定していなかった使われ方

当初は、国内にいる実習生との日々の連絡を想定していました。ところが実際にいちばん効いたのは、海外とのやりとりでした。

  • 現地の送り出し機関の担当者と日本側の担当者が、それぞれ母国語のまま同じグループで話せる
  • 来日前の候補者ご本人やご家族との事前連絡も、同じ場で完結する
  • 通訳を挟むと1往復に半日かかっていた確認が、その場で終わる

もうひとつは長い実務文書です。出張日程表のような表組みも、ビザ申請の必要書類リストのような長い箇条書きも、貼り付ければそのまま訳が出ます。これまで翻訳会社や通訳に回していた種類の文書を、内容を把握する目的であれば自分たちで読めるようになりました。

逆に、崩れるもの

一方で、機械翻訳がはっきり苦手とする領域も見えました。実際に起きたものを挙げます。

固有名詞。「長澤」がベトナム語では「Nagawa」という別の綴りになり、インドネシア語では「Ibu Nagasawa」——女性への敬称を付けた形で訳されました。地名も同じで、「プランバナン」が「Blancpanan」という実在しない綴りに変わりました。

日常語の取り違え。「ごはん」をインドネシア語に訳すと「beras」になります。これは炉く前の米で、食事の意味では通じません。

制度用語。「在留期間更新」「技能検定」「特定技能1号」といった言葉は、一般的な翻訳エンジンでは字面のまま訳され、元の意味から離れます。

共通しているのは、誤訳がもっともらしい形で出てくることです。エラーにはなりません。受け取った側は正しいものとして読みます。ここが機械翻訳のいちばん危ないところです。

だから決めた3つのルール

  • 日付・時刻・金額・数量・氏名は、翻訳結果だけで確定させない。口頭または書面での確認を必ず併用します
  • 制度の説明を機械翻訳で完結させない。訳文はすべて記録に残し、誤訳が見つかった用語を蓄積して順次補正していきます
  • 機微な情報は書き込まない。在留カード番号や口座番号などは、翻訳を通すトークには載せません

3つ目は、便利になったからこそ必要になったルールです。伝わるようになると、書き込む内容も自然と増えていきます。

あわせて、Botが止まっていないかを毎朝自動で確認し、訳文の品質を毎週まとめて点検する仕組みも動かしています。「気づかないうちに止まっていた」「誰も誤訳に気づかなかった」を防ぐためです。現場からの報告を前提にした運用は、実際には機能しません。

まとめ

機械翻訳は、日々の連絡を回すには十分な水準に来ています。一方で、制度と期限が絡む場面では、まだ人が最終確認をする必要があります。

当組合は、この線引きを自分たちの業務で運用しながら確かめています。ツールを導入して終わりにするのではなく、どこまで任せられるのかを実務で検証したうえで、受入企業様にお伝えする。それが監理団体の役割だと考えています。

実習生・特定技能外国人の受け入れをご検討中の企業様、また現在の受け入れでコミュニケーションに課題を感じておられる企業様は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。担当より3営業日以内にご連絡します。