【2026年9月8日】外国人材ニュースまとめ|OTIT熊本支所が「復旧・復興工事に技能実習生を従事させる事業者」向けリーフレット公表(9/3)——石綿・熱中症・時間外80時間、外国人材を働かせる企業の安全衛生コンプライアンス点検
外国人技能実習機構(OTIT)熊本支所は9月3日、「外国人技能実習生を復旧・復興工事に従事させる事業者の皆様への留意事項」をまとめたリーフレットを公表しました(令和8年熊本地震の特設ページに掲載)。被災地の復旧・復興が本格化するなか、技能実習生を建設・解体・片付けなどの現場で働かせる受入企業に向けて、安全衛生と労務管理の要点を注意喚起する内容です。
リーフレットが挙げる柱は「石綿(アスベスト)対策」「熱中症対策」「時間外労働(月80時間超)の手続」の3点。いずれも熊本に限らず、外国人材を働かせるすべての企業に共通する法令上の義務です。復旧工事や真夏の屋外作業に外国人材を配置している(検討している)企業は、この機会に自社の安全衛生・労務コンプライアンスを点検しておきたいところです。
① 石綿(アスベスト)対策──解体・改修に従事させる前に「事前調査」
被災した建物の解体・改修では、古い建材に石綿が含まれているおそれがあります。石綿障害予防規則により、解体・改修工事は規模を問わず着工前に石綿の有無を調べる「事前調査」が義務で、2023年10月からは調査は有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)が行う必要があります。さらに一定規模以上(解体部分の床面積80㎡以上、請負金額税込100万円以上の改修等)は、調査結果を電子システム(石綿事前調査結果報告システム)で労働基準監督署・自治体に報告しなければなりません。
石綿が見つかった場合は、作業計画の作成、湿潤化・隔離・保護具の使用などのばく露防止措置が必要です。外国人材に解体・撤去作業をさせる場合ほど、言葉の壁で危険が伝わりにくいため、母国語や「やさしい日本語」での作業手順・保護具着用の周知が実務上のカギになります。
② 熱中症対策──2025年6月から「罰則付き」で義務化
2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、職場の熱中症対策が事業者の義務(罰則付き)になっています。対象は、WBGT(暑さ指数)28以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行われる見込みの作業。事業者には次の対応が求められます。
- 体制の整備:熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、事業場内で報告できる仕組みをつくる(誰が・どう対応するかを決める)
- 手順の作成:症状が出たときの作業からの離脱・身体冷却・医療機関への搬送などの手順を定める
- 関係者への周知:上記の体制・手順を作業に関わる全員に知らせる
屋外の復旧作業に限らず、真夏の製造・物流・農業などの現場も対象です。言語面のハンディがある外国人材は不調を申し出にくいことがあるため、周知は母国語・やさしい日本語で行い、こまめな水分・休憩を現場ルールとして徹底することが重要です。
③ 時間外労働が月80時間を超えるとき──医師の面接指導
復旧・復興の繁忙で長時間労働になりやすい局面です。時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合、事業者は医師による面接指導を行う義務があります(労働安全衛生法)。あわせて36協定の上限規制(原則月45時間・年360時間、特別条項でも上限あり)や割増賃金の適正な支払いも当然に守る必要があります。技能実習生・特定技能外国人も日本人と同じ労働関係法令が適用されます。
前提:技能実習・育成就労は「認定計画の範囲内」の作業が原則
技能実習生は認定された技能実習計画に沿った作業に従事させるのが原則で、計画にない復旧・復興工事に安易に従事させると計画との不整合になりかねません。従事の可否や手続に迷う場合は、事前に監理団体・OTITに相談してください。2027年4月施行の育成就労でも、認定計画に基づく育成という枠組みは維持されます。被災を理由に賃金不払や過重労働が生じないよう、実習・育成の本旨を外さない運用が求められます。
企業の実務ポイント(今すぐ確認すること)
- 対象:外国人材(技能実習・特定技能・育成就労等)を復旧・復興工事や屋外・高温下の作業に従事させる、または検討している全国の受入企業・監理団体・登録支援機関
- 石綿:解体・改修に従事させる前に、有資格者による事前調査を実施したか。床面積80㎡以上の解体、100万円以上の改修等は結果を電子報告したか。ばく露防止措置と保護具を用意し、母国語・やさしい日本語で周知したか
- 熱中症(2025年6月1日〜義務・罰則付き):WBGT28/気温31度以上で連続1時間・1日4時間超の作業がある場合、①体制整備②対応手順③関係者への周知の3点を整備済みか。外国人材にも母国語等で伝わっているか
- 時間外労働:月80時間超+疲労蓄積の申出があれば医師の面接指導を実施する体制があるか。36協定の上限・割増賃金は適正か
- 技能実習計画:復旧・復興工事が認定計画の作業内容の範囲内か。範囲外・判断に迷う場合は着手前に監理団体・OTITに相談したか
- 相談先:外国人技能実習機構(OTIT)各支所、労働基準監督署。安全衛生の具体策は厚労省の石綿・熱中症・自然災害時の安全衛生対策の各ポータルを参照
出典:外国人技能実習機構「令和8年熊本地震」特設ページおよびお知らせ(2026年9月3日 熊本支所リーフレット公表)/厚生労働省 労働安全衛生規則の熱中症対策(2025年6月1日施行)・石綿事前調査結果報告制度。数値・施行日は各一次情報に基づく。本記事は受入企業・監理団体・登録支援機関の実務担当者向けの情報提供であり、個別の判断は所管窓口にご確認ください。